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空降るでいず

じゆうな いろで えがいて みよう

ご当地アイドル

 SmartWatch MN2のベルトは蒸れると評判で、実際に付けてみるとふざけてんのかとうんざりしたくなるくらいゴツい。それを見越してか、市販のベルトをつなげられるアタッチメントが同梱されているので、そのためのベルトを買いにショッピングセンターまで行ってきた。
 車を駐車場に駐めて建物に入ると、広場で女の子たちが歌っていた。大きなショッピングセンターに芸能人がやってきてライブを行うのは(見たことは無いけど)割とよくある話だし、今回もそう言うのかなと最初の一瞬だけ思ったけど、すぐに違うと気づいた。観客が少ない。パイプ椅子の観客席は埋まっているけど、立ち見の人たちがまばらでたまたま通りがかってそのまま見ているだけの人に見える。
 一曲歌い終わって、それぞれが自己紹介を始めたところでいわゆる「ご当地アイドル」の人たちだと分かった。なるほどなー、噂には聞いていたけど実際にこんな微妙な街(失礼)にもご当地アイドルがいるわけかと。どおりで歌もそんなに上手くないし、ちょっと味のあるムッチリ感のある子がいたりしたわけだ。「横に物販ブースがありますので、皆さんCDやグッズを買ってくださーいっ☆」と涙ぐましい営業活動をされても正直買う気が全く起こらない。
 でもなんだろうな、この子たちも日頃は普通に学校生活を送っていて、学校で普通に友達と喋って、でも塾やあるいは遊びに行く時間を削りながらこういう練習をしてこの場に挑んでいることを想像すると、不思議と応援したくなってくる。そういえば座っている観客席の人たちってもしかしてこの子たちの家族なんじゃないの、なんて思ったりして。「たまたま市内に住んでて興味があったから送ってみたら通ってしまった」レベルの子たちが一生懸命練習して、(自主制作だろうけど)CDまで出してオタ芸をやる固定ファンをつけるところまで来て、こうしてショッピングモールの一角だけでも盛り上げることが出来るんだ。彼女たちはこの瞬間が楽しいんだろうな、なんてことを思う。
 そのほうがいいさ。もっとファンが増えていったりすると商売っ気が強くなって最初のコンセプトのままではいられなくなる。彼女たちは「街を盛り上げる」というきわめて抽象的な課題に挑んでいるわけで、ゆるキャラみたいにあちこち出張するのはもう少し先で良いし、今日のこの場所で着実にステージを重ねていけば良い。そうすれば、着実に実力も人気も付いてくるさ。CDの枚数やFacebookあたりでのファン数にとらわれるな。
 一方私は、そんなことを言いながらファン数や能力値といった数字の競争と金にまみれたモバマスをせっせと続けるのであった。あとベルト売ってませんでした。何しに来たんだか。