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空降るでいず

じゆうな いろで えがいて みよう

艦これのアニメはキャラが多すぎる

アニメ

 昨日会社の後輩と少しだけ話をして、そのとき艦これのアニメの話題になった。彼は艦これのプレイヤー(提督)ではないので、どんなもんだろうと試しに1話だけ見てみたそうだけど、そのままリタイアしてしまったそうな。
 曰く、「キャラが多すぎて分からない」と。
 どれが主人公かは分かったけれども、それ以外がさっぱり分からない。よく分からないアニメに映ったようだった。
 そういえばTwitterでも、艦これ未プレイ組の人が「キャラクターが多すぎて分からない」「世界観が分からない」の声をちらほら見たような記憶があるな、と思い出してちょっと考えてみた。多分1話放送後にいろんなところで議論があっただろうから今更だけど。

キャラクターが多すぎる

 艦これプレイ組としては、アニメを見るとあの子が出てこないとか出ているのに喋らないとかいろいろ思うところはあるし、ネットを見てても「妙高型で妙高姉さんだけ出ていない」*1だの「叢雲はまだか」だの色々言われている。
 でも艦これを知らないと仮定して1話の内容を思い出すと、確かにキャラクターが多すぎてピンとこないような気がしてくる。
 主人公の女の子がどこかから転属してきて、責任者らしき人に報告をする。直後に相部屋の子とばったり会い、そこから色々と人が出てくる。その中である先輩が出てきて、主人公がその人に憧れるようになる。そして海に戦いに出ると主人公がまるで戦えない素人なのが露呈するが、先輩に窮地を救われる。というのが1話の内容。簡潔に書いてしまうと意外と大したことなかった。ただしそれは最低限抑えておくべき登場人物を見分けられるから。
 キャラクターが沢山出てくるアニメは色々あれど、意外と脱落はしないし分からないなりになんとかなる。艦これの1話も上記の通りの内容で、最低限主人公の「吹雪」と「赤城先輩」だけ抑えておけば睦月も夕立も川内型も「そういう人がいる」程度の扱いで良いはず。でも艦これの1話はそうはならないのではないか。

キャラクターを出し過ぎた

 キャラクターが多すぎてピンとこない。「これ誰だ?」があまりに多い。
 本来なら吹雪が着任してから出撃するまでだけをもっと集中して描けばいいはずが、途中いきなり戦闘シーンが入ってくるわ、そのあとの出撃シーンでも吹雪の属する艦隊以外のキャラクターが次々喋るわでノイズも多く、どれが最低限覚えておけば良いキャラクターなのかが分からなくなってしまう。
 とくに他のアニメならモブキャラが映りつつ、この先の回で出てくるキャラクターがちょっとアップ気味で出たり他とはちょっと違う意味合いのことを言ったりして差別化されているものだけど、ここでしっかり描かれたキャラクターの発言にはあまり意味が無く、本当にノイズになってしまっている可能性が高い。
 響のハラショーとか最上の中破とかやる必要あったんだろうか。響は戦後ロシアに渡された駆逐艦なのでああいう喋りだし、最上は単に「ダメージを受けると服が破れる」という設定の軽い紹介でしかないんだろうとは思うけど、初見でそんなもん分かるわけないだろう。あっちこっちに目移りする要素を散らばらせすぎたんじゃないかな。

モブがいない

 それに、艦これの場合はキャラクター(艦娘)がすごく多いし、それぞれの性格も比較的はっきりしている。那珂ちゃんがビラを配るシーンなんて全員が既存のキャラだし逆に言うとモブにしたくてもモブにならない。僕ら知ってる人間は周りのキャラを見て陽炎が歩いてるとか手前を横切ったのは綾波かとか言えるけど、そのはっきりした個性の強い描き込み方からして「これはモブではない」という認識をさせてしまうのではないか。
 このアニメには名前もなく放っておいていい一度限りのキャラがいない。そうなると、この先覚えなきゃいけない(と錯覚する)キャラの数が飛躍的に増えてしまう。

世界観が謎すぎる

 艦これを知っている僕らでも困るのが世界観。後輩にも世界観を聞かれたけどうまく答えられなかった。
 艦これは元々世界観とかストーリーとかがあやふやで、「よく分からんけど太平洋戦争の頃の軍艦が女の子の姿になって深海から出てきた船のお化けと戦ってる」くらいのことしか言えない。おかげで関連作品は世界観が見事にばらばら。それが艦これの良いところでもあるけれども。
 そこに出てきたこのアニメは、その分からなさがますます増している。
 そもそも時代設定はいつなのか?帝国海軍の艦艇だという設定はどこへ行った?実害なさそうだけどなんで戦ってるの?何で重巡が教師みたいなことやってんの?
 うちらでも「?」だらけなのに、艦これに触れたことがないとますます辛い。艦これは他の戦争ゲームの開発者や模型会社の人に「一般層の知識のボトムアップがすさまじい」と評されるほどの知識を得させている。それは帝国海軍の艦艇であったり、どこどこの海戦で何と何が沈んだとかそういう戦争の歴史そのものだったりするわけだ。
 アニメではそういう話には決してならないけど、キャラクターやゲームシステムは史実や実際の形式をモチーフに作られているわけで、その要素からは逃れられない。圧倒的にボトムアップされている状態の人たちが見て不思議がるのに、その前提すら持っていない人が見たところで何が分かるのか。船の区分も分からないし(くちくかんって何?とか)陣形の必要性もよく分からない。5話で加賀が言った「北上中心の輪形陣に何の意味があるのか」って笑うところも笑えない。

誰をターゲットに作るべきか

 今のところ、艦これのアニメは迷走している感が否めない。人が一人死ぬ回の次にギャグ回を挟むなんてのは理解できない。
 が、その前にこのアニメは作るのが難しかったんじゃないか。元々の世界観がゆるいせいで自由な解釈ができるものの、締め方を間違えると変な風にしかならない。ラノベの「陽炎抜錨します」は作者が海洋小説が好きだったり海軍にも詳しかったりしたし、他の小説でもあとがきだけ読んだら元々「萌えミリ」なるジャンルの中にいる人が書いていたりと、わりと船や海軍周りに明るい人が書いているおかげで、ある程度地に足の着いた内容になっている(はず)。
 その中で、実際に脚本を書く人が分からないのであれば同じく分からない人に向けて噛み砕いてすすめるような展開にした方が良かっただろうし、艦これ経験者に向けるのであればもっと史実や実際の艦艇寄りの設定を織り込んでもよかったんじゃないだろうか。
 そもそも、この艦これのシナリオ(吹雪が赤城先輩に憧れて云々)は運営鎮守府の田中Pがゲームの艦これのために温めながらも没にした内容の再利用なわけで、これが元々どういう内容だったのか、どうゲームに織り込んだのか、なぜ諦めたのかを明確にしないままアニメに持ってきてしまった可能性もある。
 世界観の丁寧な説明と登場キャラクターのスリム化が出来なかったせいで、初見の人には「知っている前提で作られている」とびびらせてしまい、知っているはずの人には「なんだこの世界は」と思われてしまう、そんな微妙な出来になってしまってるんじゃないかな。

とにかく

話がとっちらかってしまった。
なんだかんだと毎週Twitterで文句を言ってるけど、そうはいっても艦これがアニメになるのは感慨深いので各話を2, 3度は見てる。それだけにふらふらした展開は残念だし、せっかくのご新規さんを疲れさせるどころか1話で諦められてしまっているのはなにより辛い。
 そういば、名前だけとてもメジャーな大和がまだ出てきていない。オープニングで出てくるのでこの先登場するんだろうけど、やっぱりご新規さんにも「これがあの大和か」って思って欲しいわけですよ。そう思うと、やっぱりこの史実と繋がらない宙に浮いた話もますます変だし、落としどころが見えない。
 この先いい感じに進んでくれれば良いけど、どうなることやら。

*1:4話のBパートで顔すら描かれないサイズで一瞬映ってる