空降るでいず

じゆうな いろで えがいて みよう

ド近所にアニメが来た

ペンギン・ハイウェイ」という映画が公開されていますね。

penguin-highway.com


 初めてそのタイトルを知ったのは恥ずかしながら公開直前に流れていたCMで、そのときは「また知らない人が監督をやっている夏休み映画だ」くらいにしか思わなかった。そのあと監督はあの「フミコの告白」の人だとか、おっぱい連呼だとか、おねショタだとか、釘宮理恵が男の子の声をやっているとか、気になって仕方ないうわさがどんどん飛び込んできたものの、それでも見に行く気にはならなかった。

 が、思ってもないところから思ってもないツイートを見つけてしまう。

えっ ド近所やん

ド近所でした

 というわけで遅ればせながらさっき見てきた。やべえ・・・ド近所だ・・・。

 町の全景なんかは完全に架空のもので、実在しない地形をベースに実在のお店だとかをぱらぱらと散りばめた形になっている。住宅街もいかにも戸建ての多いベタな新興住宅地として描かれているので実際の街そのものではない。ないにしても、かなりそれっぽく作られていた。

 主人公のアオヤマ君が2度訪れる駅(学研北生駒駅)はまさにそのまんまで、駅から水族館に向けて電車に乗る時の風景が、学研北生駒駅から白庭台駅方面への高架周辺がベースになっているのもよくわかる。お父さんを見送るシーンのバス停は登美ケ丘高校からスーパーのほうに向かっていった時の左手に見えるバス停のようだし、お父さんと入った高そうなレストランは学園前のコープの斜め向かいじゃね?*1とか(違うそうです)いろいろと見入ってしまった。ああもうみんな(頑張れば)徒歩圏内だ。でも作中の通り坂はそこそこ多いんだ、きついからチャリくれ。

 他のお客さん(小学生がすごく多い)も知ってて見に来てるのかわからんけれども、近鉄7000系が大写しになった瞬間(お?)という空気になり、登美ヶ丘のイオン前が映ったところで「あ!イオンだ!登美ヶ丘駅だ!」と微妙に盛り上がっていた。そりゃやっぱり知ってるところが映ると嬉しいもんですよ。

 うまく表現できないけれど、自宅から半径2km圏内*2にSFの世界が転がっているというのは少しうれしいし、いつもの風景がちょっとだけ楽しくなるような気がするね。

ついでに映画の感想もちょっとだけ

 もともとは日本SF大賞を受賞した小説ということで子供向けではなくSFなんだけど、結果的に「夏休み映画」の枠に収まったせいで、とんでもなく異質な映画に見えた。

 子供向けっぽい雰囲気を出しているくせに分からないことは分からないまま終わるし、明らかに大団円ではないし、悪く言えば「投げたら投げっぱなし」みたいに見えるかもしれない。でも、子どもをターゲットにしたオリジナル作品やテレビシリーズの映画化作品を考えると、主人公の設定や話の展開すべてが王道から逸れているので「子供向けじゃない作品入門」みたいなポジションになるんじゃないかとか思った。王道から外れる分をペンギンのビジュアルやらなんやらでカバーしていて全然退屈しないし。

 ペンギンが大量発生するビジュアル面で圧倒されるし、見た後の余韻も残るし、見に来た子たちにとっては「話は覚えてないけれどとにかく印象が強烈」という感覚がいつまでも残るんじゃないかねえ。こんなこと書くのはいつになく親子連れが多く感じたからなんですけど。

 あと、なんだろうな、目の前にある大きな問題にぶち当たって、協力して解決しようと進めるんだけどどうしようもできなくて、大一番でうまくいったんだけどそれには代償があって、みたいなのって事象の大小問わずだれにでもどこにでもあると思うんだよね。それを反省とするのか、糧とするのか、そこで自信を失うのかは人や内容によるだろうけれど、この映画ではそこまで少しだけ成長する姿を提示して終わるのがよかったと思うよ。主人公が天才肌なのでそうそう真似できないだろうけれど、それでも、ね。

*1:そういえばいまだに入ったことはないけど、少なくとも作中のように食事中のガラス越しに見える風景が森ということは絶対ない

*2:こんな表現をすると居場所がばれる