空降るでいず

じゆうな いろで えがいて みよう

まどか☆マギカの映画を見てきました

 「魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」を日曜日に見てきたよ。いやあ面白かった。

客の入り

 今回はたまたま名古屋市内にいたので、オープン時刻の9時ぴったりに名古屋の109シネマズへ。ところが既にチケット売り場から出入口を出てエスカレーター付近まで待機列が伸びていて、丁度に来たのに完全に出遅れているという事態になっていた。エスカレーター下に8時時点でのチケット販売状況とかあるし、もうどんだけ注目されてるんだよと。
 待機列は待機列で3つあって、ひとつは通常のチケット販売、ひとつはネット予約のチケット受け取り、そして最後は物販列。グッズ販売でなんでこんなに並んでいるのかよく分からないけど、これだけ人が集まるというのはそれだけ注目されているということだし、それだけ力のある作品だと言うことだよね。エヴァでもここまで人がいるの見なかった気がする。

というわけで感想

ここからはネタバレありで。まだ見てない人はまたの機会に。

 いやあ面白かった。またとんでもない内容の映画を見てしまったと思う。
 物語は、まどかが朝起きて、友達(さやかとなんと杏子!)と待ち合わせして学校に向かい、ほむらが転校してくるところから始まる。これ、どう見ても1話の冒頭の焼き直しで、映画前後編からの流れで来ると思っていた頭の中が早速混乱してしまう。テレビシリーズや映画前後編との連続性がどう見てもさっぱり無いので、何かを仕込んであるのは十分承知しているつもりなのに、これパラレルワールド設定?みたいな勘違いをしてしまいそう。仕掛けがあるはずだというのは分かっているつもりだけど、それすら壊れそうなくらいに強力な出だしだと思う。10話同様、前と同じだけど違う始め方をする展開にいつも引きつけられてしまうね。
 そのあとはほむらがこの世界がおかしいことに気づいて、世界の正体とその犯人に気づいたあとにいよいよキュゥべえから真相が明かされはじめて・・・という流れ。TV版と比べて失速するかと思ったけど、ごめんなさい、面白かったです。
 だらだら書いてもあれなので、ここはと思ったポイントをいくつか書きたい。

ほむらの最初の相談相手

 ほむらが世界に違和感を覚え始めた時、最初に相談したのが杏子だった。この時点でのほむらは眼鏡ほむらなので、相談するにしても仲の良いまどかかマミさんの元に行くはずだと思う。さやかはいつもほむらには冷たいし(という今回とは直接関係の無いTV版10話の印象からの勝手なイメージ)、杏子もまたどうなんだろう、あまり接点が強いようには思えない。
 一方で、ほむらが杏子に話を持ちかけるシーンは以前にもあった。6話の時はワルプルギスの夜が来るから協力して倒そう、という話の持ちかけをしているわけで、その当時のほむらにとっての杏子のイメージが戻ってきた結果相談したんだろうか。確かに杏子は何かおかしなところに気づきそうな雰囲気あるもんね。
 結果として、ほむらと杏子は見滝原から出られなくなっていることに気づいてほむらはさらなる行動に出るわけだけど、その間ずっと横にいた杏子はあまり目立つ動きはしていなかったけどなんとも杏子らしかったと思う。これ他の人を連れて行ってたら「おかしくないよー?」で済ませてそうだし、こういうところの突破口にはよく似合うと思う。

さやかの役回り

 まどか☆マギカのこれまでの作中では、常に情報を最も多く持っていたのは(キュゥべえは除くとして)常にほむらだった。ところが今作だと、前半の閉じ込められた見滝原の中ではなんとさやかがその位置にいたことが判明する。なんともまぁ大出世じゃないの。良かったじゃん。
 さやかといえば作中ではマミさんに続き何も知らない魔法少女みたいな扱いで、自身がボロボロになっていく姿を通して魔法少女の正体や世界の構造が明らかになっていったけれども、今回は全部お見通しでしかもうまいこと普通の魔法少女として溶け込んじゃってる。円環の理に導かれたことで溶け込むスキルまで手に入れちゃってすごいなあ。
 思い出してみれば、TVシリーズだと何も知らないさやかに対して何でも知ってるほむらが忠告だの説教だのするシーンはいくつもあった。ところが今回はその立場が逆転しているシーンがあって、その部分に対する違和感や印象というのがけっこう強い。このシーンがあったことでさやかの役割や、今何が起きているのかというのが分かるし、なによりほむらが次に何をしようとしているのかを完全に見抜いているさやかを見るのは感慨深い。
 テレビシリーズでひどい目に遭い続けて先にドロップアウトしてしまった分、こうして良いポジションが与えられて本当に良かったと思う。ボンバーマンのみそボンみたいだ(例えが悪い)。

終盤のあの展開

 見終わって真っ先に話題にするのは本当はこれだと思う。ほむらが悪魔になってしまった、という超展開。こんなの誰が予想できるんだ!
 ここまでずっと真面目にまどかのためにやってきたほむらの中の均衡が崩れてしまったと思ったらそこからは早かった。なんかいきなり愛とか言い出すし、もう欲の塊じゃないですかやだー。でもこうなってしまったのって妙に納得できるんだよね。まどかが概念になってしまった以降ずっと会えなくて、存在すら疑ってしまうくらいになったところに突然会ってしまったら、そりゃもう昔に戻りたい、昔のように一緒にいたいと誰でも思うさ。それを叶えようとしたら、神の領域(円環の理)から一部を引きはがすしかないし、それを出来てしまう力を手に入れてしまうのも厭わない。見てる側からしたらおっかない話だけどね。
 そういえば、ほむらが魔法少女になった元々の願いは「まどかを守る私でありたい」だったわけで、「まどかが守った世界を守る私」だった時期を経ていよいよ再び守るべきまどかを手に入れたというところだろう。それ自体が願いというか、自分の為の欲だし自分の為に世界も変える。最初の願いと大筋は変わっていないはずなのに、とても悪魔らしい愚かな行為じゃないか。人の幸せなど願わず、ただまどかが一緒にいればいい。
 しかしこれ、神と悪魔の軸を作ってしまったせいで終わらない物語になっちゃったような気がする。ほむらが悪魔というポジションに固定されてしまった以上、これはなかなか動かせないんじゃないか。続編があるのかないのか分からないけれど、どっちにしてもずっと名作として残り続けるアニメとしての地位を更に確固たるものにしたんだと思う。ほんと、やってくれたね。

翌日

 翌月曜日、また見てきた。日曜は最前列しか座席が取れなかったので、見えているようで近すぎて逆に見えない目に遭っていたけど今度はちゃんと普通の中段あたりから見ることが出来た。おお、ちゃんと見える、見えるぞ。
 このアニメは何度見ても新鮮な気持ちで見られそうな気がする。まだ2回目だけど、見るたびに新しい発見がありそう。1回目を見ただけではイマイチ話が把握できていなかったことに気づけたし、かわいらしいシーン(前半のあたり)も全体を見ることが出来て良かった。
 何度でも見ることが出来る名作だと思う。また見に行きたい。