空降るでいず

じゆうな いろで えがいて みよう

ライトノベルという名の通勤の友

 この半年ほど、通勤の行き帰りの電車内でひたすらラノベを読んでいる。挿絵のページが恥ずかしい。ずっと読んでる(た)のは次の2作で、これを1巻ずつ交互に読んでいる。

夢の「始発駅から座って通勤」を実現しているからこそ出来る芸当であります。(でも帰りは立ってる)

リゼロ

 リゼロはアニメ1期が放送されていた頃に、アニメは見ずに1巻と2巻だけ買ったものの2巻の途中で放り投げていた。当時は7〜8巻までしか出ていなかったので、仮に読み進めることになったとしても追いつけるだろうという基準で手を付けていたのに、今や最新刊が24巻なのかな?今から手を出すには憚られる巻数になってしまって悲しい。今は12巻まで読み終えたところ。先が遠すぎる。

 誰かが散々語り尽くしているだろうから今更感想なんて書くまでもないけれど、やはり5〜6巻あたりがしんどかった。あのあたりは主人公がサイコ過ぎて誰にとっても読むのが辛い。その山を越えればマシにはなるものの、基本的に各キャラクターがグロい目に遭ったあげくに死んでその度に時間を遡ってやり直す、の繰り返しなのできついはきつい。ただやっぱり繰り返し耐性のある(テープみたいな表現)設定と世界観なので、読んでみると緻密というか、単に続きが気になるというのはあるかな。追いつくまで読み切るか、途中で読むこと自体に飽きるかのどっちかになりそう。

 そういえば。リゼロのアニメの1期は見てなかったくせに2期(2020夏アニメ。続きが1月から放送予定)は見てるんだけど、内容がびっくりするほど意味分からんね。見てた頃はまだ3〜7巻あたりを読んでたので話も知らなかったものの、それを抜きにしても理解が難しい。登場人物の発言ややりとり全般がまったく分からないことが多かった。

 9月までの2期前半は9巻途中から13巻の序盤までなのかな?で今12巻まで来ててほぼ追いつきつつあるんだけど、読んでやっと理解できた箇所の多いこと。適当に部屋の扉を開けて書庫に飛び込んだだけに見えたシーンが、実はその扉はレムの部屋で、敵からレムを守るために飛び込んだはずが「扉渡り」でベアトリスの書庫に入ってしまい、その間にレムは敵に殺されてしまったとベアトリスから冷淡に告げられるという内容だったなんてそんなもん分かんないよ。それを踏まえて何話か見返しているけれど、読んだうえで見ても分からんシーンが多いし、不要な演出も多いように感じる。

 まあライトノベルや小説をアニメやドラマにする時点で情報量が激減するのは確定しているも同然だし、涼宮ハルヒシリーズみたいに1巻をじっくり贅沢にアニメ化させるのは不可能だとは思うんだけど、リゼロの場合は削るのが難しいというか変になぞろうとしすぎて無理な内容になってる気がする。オープニングやエンディングの時間も削って必死に時間を確保するも及ばなかったというか。これよりハイペースだった(8巻半を2クールでアニメ化)1期は一体どうなってたんだろうねえ。まあ脚本泣かせの内容には違いない。

りゅうおうのおしごと!

 以前のエントリで言及した、大量に見たアニメの中の一作。16歳の天才棋士が小学生の弟子を取る、という内容。

 「各キャラクターがグロい目に遭ったあげくに死んでその度に時間を遡ってやり直す」ラノベよりも「大阪で将棋指してる」ラノベが読みやすいのは言うまでもない。作者が岐阜の人なので、野田から難波へ行くのに阪神を使ったり、奈良在住のキャラクターが東京へ行くのに新幹線よりも飛行機が早いと関西空港にいたりと謎ムーブが時折発生するものの、そんなものは些細なことで、前半はギャグと下ネタ、後半はきちんと対局してて総合エンタメ感も強く非常に良い。毎巻サクサク読み進めてしまう。

 個人的には「現代ラノベ芸」と勝手に呼んでる芸風(登場人物の発言に応じて字体を変える、字を大きくしたり小さくしたり太字にしたりする、とりあえず図を付ける、など)は嫌いなんだけど、この作品ではかなり総動員していてしかも上手くはまっている。おかげで電車で読むのが恥ずかしいが、雑誌の対談記事の場面など文書に関わるシーンはそれっぽく作られていて感心するレベル。

 やはり大阪が舞台なのと、一見静かな将棋の対局をガンダムの戦闘ばりに会話させながら熱く進めていくので単純に面白いし読みやすい。未だに駒の動きすら分からないくせにいろんな将棋用語は自然と吸収していく状態にある、気がする。主人公の九頭竜八一はどこかのローカルニュースで藤井聡太と比較されていたりするので、なかなかタイムリーな作品をタイムリーな時に読んでてちょっとだけラッキーかな。

 作者は自身がラノベ作家であることにコンプレックスやプライドがあるようだけど、リゼロだって挿絵はあるにしても文章一本でやってるんだし、フォントや現代のラノベ的な工夫や下ネタに頼らない作品も読んでみたいと思っている。やってくれないかな。

 本作は既刊13巻なんだけど、もう追いついてしまった。次回は来年の14巻でお会いしましょう。

涼宮ハルヒの直観

 今読んでいるのがハルヒの最新刊。「驚愕」から9年半も経っちゃったの、てことは出勤前の朝の7時頃にアニメイトの店頭に並んで「驚愕」を手に入れたのが9年半も前なのっていうか9年半も前から既に働いてんの?なんかもう全てがショック。本人の感覚に反して老化が早い。

 まだ書き下ろしの新作の部分まで読み進めてないけれど、今のところ昔のハルヒ短編がそのまま出てきた感がある。挿絵の画風はじわじわと変わったものの、文体に変化はなかったようだ。ハルヒを読むのは脳を使うというか、ひたすら脳内で杉田智和の朗読が繰り広げられるような、いや、ここは読んじゃダメだ... みたいな謎の葛藤が頭の中で起こり続けるので進みが悪い。今回は400ページ超の厚さだしまだまだかかりそう。

 カラーページ最後恒例のSDキャラ3人娘が手洗い・うがい・マスク着用していたり、巻末の広告一発目が「このすば」だったりと前巻からの時代の変化は感じるものの、とりあえず健在でよかった。今回は珍しくあとがき(と「最後に」)を先に読んでしまったんだけど、その内容も含めて、健在で、良かったよ。本当に。